感動出来る話が沢山あった。人とは違う浮世離れした柳沢教授が真面目に真面目に考えつつ日常生活を送る。そして、その真面目さゆえに周囲に騒動を起こすという話。学者肌の変わり者は嫌われがちだが愛される点がレアだ。特に、部屋の中を侵食する本にストレスを溜めた教授の妻、正子がヒステリーを起こす話は現実味があった。そして、外に投げ捨てた本の中から40年前の自分が教授を想い、しおりとして挟んだ楓の葉を発見する話が趣があって良かった。初心を忘れてはいけないのかもしれない。

波のまにまに

2004年4月4日 読書
 旅館に住み込みで働く女中が先輩の女中にいじめられ続けるという話で毎回同じオチでウケた。いじめられる主人公も散々したたかで「ああああああ。あなたは鬼よ、鬼だわ。」と先輩女中に言いながら全く懲りずに行動を改めない。自らの哀れな姿を盾に男性客の部屋に入り浸ってしなだれかかる。どうやらそれが楽しいらしい。そんな軽薄で計算済みな姿がさらに先輩女中の怒りを煽る。といった、シリアステイストなギャグ漫画だった。しみじみと、なんと言うくだらない本を買ってしまったのだろうかと思った。がっくり来つつもよしとしたがもちろん、これは本棚のスペースの関係でBOOK OFFへ向かった。

相性が悪い!

2004年4月4日 読書
 この本によると、一人っ子、長男、長女、真ん中っ子、末っ子(男)、末っ子(女)という分け方でそれぞれに性格があり、その組み合わせで相性の良し悪しが決まるという事だった。ただ、この本に書かれている段階では仮説・提案に過ぎず実際どうなのかと言う報告例については主観性が多く入り、信憑性に欠けると感じた。とはいえ、人間の性格には育ちの影響があるという考え方については血液型占いと同じように、気楽な気分で扱う分には面白いと思えた。最近は歴史や文化や自然環境を考慮した県民性から行動パターンを解析する本も流行っているが、それと同じくらいの力加減で心に留めると良いと思った。
 女性側から見た男女間のすれ違いを含む小話集。ただ、やたらとベッドシーンが多いので人によってはただのエロ漫画と取られる可能性もある。コマの一つ一つの視点が工夫されていて女性がセクシーで、吹きだしの中のセリフを追う以外に登場人物のしぐさから発せられる信号も見逃してはいけない。その点では、立ち読みではなくて買って繰り返し噛み含めるべき本。いうなれば「あるある、分かるよその気持ち。」と共感するための女性向の本かもしれない。大部分は異なる感覚だが、ごく一部分でも共感できて感動すれば成功。私の場合は、「すなおじゃない人とつきあうとすなおじゃなくなる。」が名言だった。それだけ。

バカの壁

2004年2月28日 読書
 流行なのと題名の不思議さに惹かれて購入した。ベストセラーなのに本人が書いていない(独白を編集者が編集した方法である)ので、儲かってんなぁ感が先にたってニヤついてしまった。内容は誰しも日常生活で気が付いている事が多いと思ったが、気が付いている事を文章化する事の難しさを差し引くとそれはそれで凄いと思った。また、いろいろな課題を出し過ぎて論点が絞れていないが、読む人によってその中の一つでも引っ掛かった点があればそこを各自でじっくり考えるきっかけにすれば良いのではないかと思った。私が興味深く思った点は「万物が流転するのではない、自分自身が流転しているのだ」である。一度、声だの文字だのに出力した情報は今後一切変化しないが、心の中に記憶として持っているものは自分と共に変化していくのだ。充分に納得。

花探し

2004年2月28日 読書
 「愛人」という職業の空虚さがよく分かる小説だった。一時期はバブル経済の波に乗り、海外での豪遊、ショッピングなど派手に過ごす事が出来た彼女たちも、陰りを見せた現在の流れに翻弄されて次の「パトロン」=「男」を蝶のように舞って探すはめになる。しかし、現代は、自立した女と本当の恋愛を出来る男が一流だ、お金で女を囲うなんてモテなくなったおやじのする事だろうという価値観に変化し、美しい女性である事しか能力を持たない主人公は崖っぷちに立たされるのであった。という内容で、感想はやっぱりね、ざまぁみろって感じだった。416ページ読むまでもない感想だけれどその通りだから仕方がねぇ。ただ、大人の俗っぽい遊び方を知るには良い資料となった。
 以前からイスとイヌが見分けられないなぁと思っていたので、これは私にとって、とても役に立つ本だった。特に、足のタイプが分かりやすかった。イスには「猫足」というタイプがあるがイヌが猫足の時は、それを「丸みを帯びた足」と表現しているとの事だった。また、怪我をする時について、イスの場合は「とげが出ていたり、正しく座らなかった時」だが、イヌの場合は「驚かした時や慣れていなかった時、または、ふざけていて間違えた時」という事だった。これを心に置いて、これからはイヌとイスを見分けようと思った。また、「サル」という言葉を用いて見分ける方法も紹介されていた。それは、「サルノコシカケ」という名詞と「犬猿の仲」ということわざに加工してから見分けるという高等な手法であって、私にも使えるかどうか自信がないと思った。

鱗姫―uloco hime

2004年2月18日 読書
 耽美をモットーとしているという少々ナルシストぎみな作者が書いたゴシック調な物語。17歳の乙女の皮膚に銀色のウロコがびしびしと生えていく話です。もちろん、お嬢様な主人公は叔母様の豪邸の地下室で、大好きなお兄様(この呼び方がもうかなりキテいるのだが)と共に殺人を犯したり、血を絞って自らの肌に塗ったりといろいろやっています。
 今回、見るべきポイントは、江戸川乱歩のようなクラシカルな雰囲気に合わせて、現代調のマクドナルドや、ビトンなど現代的ファッション感覚も随所に散りばめられていて、ただの耽美な雰囲気とは違うという点です。ただ、現代感覚とアンティックとが水と油のように分離した混ざり方をしていて、唐突過ぎる箇所もあり、ウケてしまったのでなかなか面白かったって感じです。
 とてもユニークな発想を持った本だった。誰が見ても間抜けな方法で自らの命を絶った人は、自らの間抜けな遺伝子を残さないように努力(?)したという事で人類の進化に貢献している、だからみんなでそれを取り上げて賞賛して、おまけになにか賞を与えるべきだと投票して「ダーウィン賞」を与える本。書かれている内容はどれも残酷なものばかり。特に、自分の一物を掃除機に突っ込んだ男性が、その掃除機にゴミを砕く歯が仕込まれているタイプだったがために一物を粉砕してしまったというエピソード、何を思ったかトラの頭に花飾りをかけようとして食われてしまった話にインパクトがあった。どれも実話との事なので、この世界にはいろいろな事があるんだなぁ、「事実は小説より奇なり」という言葉を実感した。とてもダークで不謹慎だと思いつつも面白い本だった。
 すかっとするテンポのいい詩が沢山載っている本。特に、「君の家はどこだい」がお気に入り。これは恐らく作者である三代目魚武 濱田成夫のスラング、「ワレ家どこじゃ コラ」を標準語にしたもの。詩集というと乙女チックな印象が付きまとってしまうが、これは勢いが良くて骨太い。一気に読んだ後は「そうかぁ、これだけ自分を持ち上げて自画自賛しても許される(人に寄るだろうがね)のだなぁ、一丁私も傲慢に生きてみるか。」とよく分からない自信が湧いて来る。元気を出すには持って来いの大好きな詩集だ。もちろん、詩のために一冊をものすごい速さで読み終える事が出来るので達成感も味わえる。
 初めて読んだ村上龍の作品がこれ。福岡出身の友達が「これ読むと元気がでるばい☆ミ」と言って貸してくれたのがきっかけです。映画を撮ったり、バンド活動をしたり、あげくのはては高校をバリケード封鎖したりと、なかなか激しい青春小説として読めました。もちろん、友達が言った通り、元気の出る本でした。今では自分で買って持っています。愛読書のうちの一冊かも。

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